NVOCCの損害処理の流れ

一般的な例として、荷主が貨物海上保険に加入している場合を説明します。

【フロー】
①②については、NVOCCが発行したHouse B/Lに対しての荷主よりの損害通知及び、それに対するNVOCCとしての返事となります。

③④は、NVOCCが一義的に荷主の立場となりますので、実運送人に対して同様の手続きを取ります。この行為は、後日荷主の貨物海上保険会社から求償された際にNVOCCが自社に責任(過失)がない場合の損害賠償請求の回避につながります。

<参 考>
Claim Notice雛形
Reply Letter雛形( 一般的なフォーム ・ 貨物海上保険の利用を促すフォーム )

⑤⑥荷主が貨物海上保険会社に対して保険求償を行い保険金回収時に損害賠償請求権を保険会社に代位します。

⑦保険会社は、この代位を元にNVOCC又は実運送人に対して損害賠償請求を行使します。

【ポイント】
・損害通知は海上輸送の場合に「3日」と国際海上物品運送法に規定されていますが、日数を過ぎてもその旨の通知はしてください。

・NVOCCからの実運送人に対する損害通知は、代位求償を保全する行為となり、NVOCCに過失がない場合に保険会社に対する「承認書(委任状)」により実運送人への求償を可能とします。これによりNVOCCとしての賠償義務はなく、保険会社と実運送人との交渉となります。

・保険会社は通常、弁護士事務所を通じて代位求償の手紙を送付しますので、NVOCCとして過失がない場合は明確に返事をする必要があります。
 その旨外資系の保険会社を中心に頻繁に代位求償の手紙を送付するケースが散見されます。

・承認書(委任状)により実運送人への求償を可能とした場合に運送証券の裏面の出訴期限が9ヶ月となっています。
 難しい案件では、示談期間が9ヶ月を過ぎてしまいますので、保険会社の代理人(弁護士事務所)より時効延長依頼の手紙が来ますので、実運送人に対して同様の手紙を送付して、その旨の了承後に保険会社代理人に対してサインの上、返送ください。
ここで注意が必要なのは、実運送人(Ocean B/L)からの貨物の引き取り日とNVOCCとしての貨物の引渡日に数日の差異がありますので、実運送人に対しては、保険会社代理人からの期限延長よりも長めの日数を依頼してください。

投稿者プロフィール

Kirk K. Motomura
Kirk K. Motomura
1980年代にVOCC・NVOCC業界に参入して、Sea & Truckの複合一貫輸送のシステムを構築した経験より、国際輸送における穴を埋めるリスクマネジメントに傾注。