1.対象範囲
賠償セーフティネットの適用対象は、国際海上物品運送法(ヘーグ・ヴィスビー・ルール準拠)に基づく運送契約書類(B/L等)を発行する事業者です。

2.加入対象となる運送書類(B/L)

次のような運送書類を発行する運送人は、賠償セーフティネットに加入できます。

  • JIFFA B/L(日本フォワーダーズ協会制定)
  • The Japan Shipping Exchange B/L(日本海運取引所制定)
  • NVOCC Club B/L(NVOCC倶楽部制定)
  • その他、ヘーグ・ヴィスビー・ルールに準拠したB/LまたはWaybill

これらの書類は、いずれも運送人が荷主に対して貨物受託責任を負う文書であり、法的効力と責任制限条項が明示されている点が共通しています。

3.対象となる輸送形態

  • コンテナ貨物(FCL/LCL)輸送
  • 海上区間を含む複合一貫輸送(Multimodal Transport)
  • 指定倉庫経由のCY・CFS搬入貨物

ただし、以下のような特殊輸送は標準補償対象外となります。

ロールオン・ロールオフ船(Ro-Ro)による自動車輸送

フラットラック、オープントップ等、露出貨物形態

大型・重量貨物輸送(Heavy Lift)

4.補償対象貨物の範囲

原則として、通常商業貨物(一般商品・資材・機械等)を対象とします。
ただし、以下のHSコード分類に該当する貨物は標準補償の対象外です。

HSコード区分内容例
第1類 (01.01–0106.90)動物類生きた家畜など
第3類 (03.01–0309.90)魚介類鮮魚・冷凍魚など
第6類 (06.01–0604.90)植物類花卉・苗木など
第71類 (7101.10–7118.90)貴金属類金・宝石など
第87類 (87.01–8716.90)自動車類乗用車・トラックなど
第93類 (93.01–9307.00)武器類銃器など
第97類 (97.01–9706.90)美術品類美術品・骨董品など

これらの貨物は、危険性・高額性・保管困難性の理由により除外されています。
ただし、包括契約プラン(プランII・III)を利用する場合、特約審査によって個別に補償対象化することが可能です。

5.補償単位と申込単位

  • 申込単位:B/Lごと
  • 補償単位:コンテナ1本ごと(TEU換算)

したがって、1件のB/Lで複数コンテナを輸送する場合、補償コストはコンテナ本数に応じて計算されます。
この方式により、運送人は無駄な保険料負担を回避し、輸送規模に応じた合理的な補償を得ることができます。

6.補足:包括契約プランとの関係

プランII・III(包括契約型)では、
・輸送頻度が高い事業者
・同一顧客向けの定期輸送
・系列会社間の社内物流 などを対象に、包括的な補償契約が可能です。
この場合、月次報告により補償が自動的に更新され、事前申請の手間を省略できます。

7.まとめ

項目内容
対象B/LJIFFA、Japan Shipping Exchange、NVOCC Club B/L等
対象輸送コンテナ・一貫輸送(フラットラック除く)
除外貨物動物、魚介、植物、貴金属、自動車、武器、美術品
補償単位コンテナ1本(TEU換算)
特別プランプランII・IIIは個別審査により対象拡大可能