輸入通関手続き

保 税 地 域

1.指定保税地域(蔵置期間1ヶ月以内)
国や公共団体が有し、外国貨物の積卸し、もしくは運搬をし、または、これを一時蔵置、内容点検等簡単な作業ができる場所。・・・コンテナヤード、保税上屋(CFS含む)

2.保税蔵置場所(蔵置期間は原則2年間)
外国貨物の通関・積卸し、もしくは運搬をし、またはこれを置くことができる場所。・・・保税上屋、保税倉庫

3.保税工場(蔵置期間は原則2年間)
外国貨物を原材料として関税未納のまま加工・製造・改装・仕上げ等の手入れができる工場で委託加工貿易等に利用される。

4.保税展示場(蔵置期間は税関長が認めた期間)
国際博覧会、見本市等のために外国貨物を関税・消費税未納のまま積卸し、手入、蔵置、展示等を行う場所。

5.総合保税地域(蔵置期間は原則2年間)
上記2-4の保税機能を持つ場所。輸入促進地域(FAZ:Foreign Access Area)を港湾・空港及び周辺地域に広域を保税地域に指定して関連事業者を集め、流通複合地域を構築している。

 

 

輸 入 手 続 き

輸入に関する管理は主に輸入貿易管理令と関税法等によります。

1. 輸入貿易管理令
輸入公表・・・貨物は公示(経済産業省)に従って手続きをする

輸入割当(公表第一号)を受ける品目(IQ品目)
事前に金額又は数量の割当を受けたもののみが輸入承認申請ができる。
(水産物等およびモントリオール議定書附属書に定められた規制品目が対象)

輸入承認(公表第二号)を必要とする貨物、特定の原産地または船積み地域からの特定貨物の公表されている貨物
(ワシントン条約非加盟国輸入される附属書II,IIIの動植物及びその派生物等)

確認品目(公表第三号)一定の手続き、書類の確認を必要とする貨物
経済産業大臣等の事前確認または通関時に外国公的機関、国内の所轄官庁等の証明書を 税関長に提出した場合は輸入承認を必要としない。

以上につき、経済産業大臣は無償の輸入貨物の輸入承認の権限を税関長に委任している。

 

 

2. 貿易関連法による管理(他法令)・・・外為法を補完して外為法の管理体制をより効果のあるものとするため

①輸出入取引法・・・不公正な輸出取引の禁止、工業所有権、著作権及び原産地表示と輸出令

②関税法・関税定率法による直接管理・・・虚偽の原産地表示(関税法)、知的財産権侵害(関税定率法)等

③食品衛生法・・・厚生労働省検疫所へ食品等輸入届出書を提出

④植物検疫法・・・輸入される全ての植物が検疫対象

⑤家畜伝染病予防法・・・動物、畜産物を輸入禁止と指定検疫物に区分

 

 

3. 輸入申告

①通常の輸入申告
・輸入申告書・インボイス・パッキングリスト・船荷証券・保険証券・輸入貨物評価申告書・特恵関税原産地証明・他法例証明書類・課税等で税関が要求する書類

NACCSによる申告

1・・・簡易審査扱い : 即輸出入許可
2・・・書類審査扱い : 書類提出
3・・・検査扱い     : 貨物検査の通知が通関業者の端末に送られる

②特例申告方式
・・・法令遵守に一定の要件を備え税関長より承認された特例輸入者が前年に年6回以上の輸入申告があり特定貨物として指定を受けた貨物について引取申告と納税申告を分離することができる輸入、納税申告制度

③許可前引取承認申請
・・・輸入申告時に納税申告に必要な情報が確定していない場合、適用税率の確定に時間を要する場合等で輸入許可を待たずに早急の貨物の引取りを必要とするときに利用
(関税に対する担保が必要・・・通常10%増の銀行保証書か法令保証証券(損保会社)

 

 

関 税 率 の 種 類

①基本税率・・・関税定率法により輸入貨物の全てに定められている。
②暫定税率・・・経済情勢等を勘案して暫定的に一定期間適用する。
③協定税率・・・WTO税率、加盟国以外でも二国間条約締結国(ロシア)や政令で定めた国々(24カ国)にも適用。
④特恵関税・・・開発途上国向けに設定した優遇税率で、特恵要件を満たした場合にのみ適用される。

 

 

税率の種類

従価税・・・価格を対象に税率を決め、(%)で表示される。
重量税・・・数量・重量・長さ・面積・容積・個数等に対する税率Kgあたり何円と表示される。

 

 

税率の適用範囲

【参照 : 関税について 】

 

 

税 関 検 査

1.現場検査・・・貨物が置かれている場所において行う検査

イ.巨大重量貨物
ロ.火薬、劇薬、その他危険貨物
ハ.腐敗貨物、損傷した貨物またはそれらのおそれのある貨物
ニ.検査個数が多い貨物
ホ.品名詐称のおそれがある貨物
ヘ.性質、形状等からみて税関検査場への搬入が困難であり、又は不適当と認められた貨物

2.検査場検査・・・税関検査場に貨物を搬入させて行う検査。見本検査の方法による場合は、税関庁舎に搬入させて検査を行う場合もあります。

3.本船検査・・・本船扱いを認められた貨物

4.艀中検査・・・艀中扱いを認められた貨物

5.委任検査・・・遠隔地にある貨物の蔵置場所等を勘案し、一部の貨物について現品検査を保税担当職員に委任して行う。

 

 

輸入税納税(関税・消費税)

納税方式

①間接納税
NACCSシステム参加銀行に設けられている通関会社の納税専用口座からの自動振替方式

②直接納税
i) 輸入者自身が納税専用口座からの自動振替方式
ii) 輸入者自身が納付書を持って銀行にて現金納付
iii)納期限延長方式

a)個別延長方式
申告毎に申告税額の納期限の延長を認める方式。
(担保金額を超えない範囲内で許可日の翌日から3ヶ月以内に納期限が延長)

例)  4月1日が許可日  →  7月1日が納期限

 
b)包括延長方式
特定の月における特例申告を除く全ての輸入納税申告による納税額を1か月分まとめて納期限を特定月の末日の翌日から3ヶ月以内に限り包括して延長する方式
(特定月の前月末日までに特定月中の税額に相当する担保を添えて税関長に提出)

例)  特定月4月
4月分許可納税分合計  →  7月31日が納期限

 

 

許  可
税関審査の結果、輸入貨物と輸入申告内容が一致していることが確認されて関税が納付されると輸入許可が与えられ(輸入許可通知書が出力)、貨物を引き取ることができます。