【荷受人欄と裏書の関係について】

基本的に誰が荷受人としての権利を持っているかが、問題となります。
船荷証券は、流通性のある有価証券でありますので、裏書によって貨物の権利の譲渡が可能です。
本来の意味からすれば、荷受人が指図式による船荷証券が一般的といえます。

また、世界の多くの国では記名式(Straight B/L)で発行された船荷証券は、裏書による譲渡が許されていないため、
荷受人欄にある名称の者が正当な所持人として貨物を受取る権利(B/Lの呈示不要)を有します。

※日本では、記名された荷受人の裏書により譲渡可能です。

 

①記名式によるもの
荷受人欄は、特定の名称を記載します。
※通常は、L/Cの発行銀行名か、商品代金が前払い等である場合に買主名が記載されます。

※上記画像の無断転用・転載は禁じます。

 

※裏書の確認
記名式の裏書は、「Consignee」の欄に記載されている名称の方が最初の裏書人となります。

(1)荷受人がBank of ABC の場合の裏書(記名指図人式)例

 

(2) 荷受人がInterlink Co.,Ltd. の場合の裏書例

裏書の必要はありませんが、

貨物引取りの委任をする場合は、

右のようになります。

 

 

②指図式によるもの

荷受人欄は、「to Order」または、「to Order of Shipper(s)」と記載されています。

※上記画像の無断転用・転載は禁じます。

 

※裏書の確認

指図式の裏書は、「Shipper」の欄に記載されている名称の方が最初の裏書人となります。

(1)荷受人がto Order / to Order of Shipper(s)の場合の裏書例

(i) 荷為替が組まれていない場合

 

(ii) 荷為替が組まれている場合(made out to order and blank endorsed)

 

(iii) 荷為替が組まれている場合(made out to order of Bank of ABC)

※上記の裏書は、一例です。

 

<<注意>>
※荷為替信用状に基づく書類点検に関する国際標準銀行実務(International Standard Banking Practice)の101により、信用状が記名式船荷証券を要求している場合に記載内容(既に印刷済みも含む)が指図式の船荷証券は受理されません。

例えば「Consigned to ABC Bank」を「Consigned to the order of ABC Bank」と記載されている場合等。
上記(写真②)B/Lでは、「Consigned to the order of」の文言が既に印刷されていますので、「the order of」を削除して銀行名が記載されている事を確認しなければなりません。同様に指図式船荷証券を要求している場合に 記名式船荷証券は受理されません。

※ISBPの102では、指図式船荷証券の場合に荷送人の裏書を要求していますので、裏書がない場合に受理されませんが、万が一記載漏れが受理後に発覚した場合に代理(銀行)による署名(for or on behalf of the shipper)が許されています。

また、指図式船荷証券で荷送人のサインがない場合に 運送人は裏書の有効性を確認できないため、貨物の引渡しを拒否または、補償状の提出により荷受人に荷送り人の代理人として裏書の署名をさせて貨物の引渡しを行ないます。この場合にオリジナル船荷証券全通の呈示を求められることになります。

 

【裏書について】

裏書の方法として、宛先を明記しない白地裏書、被裏書人を指図する人を特定する指図式裏書、被裏書人を特定する記名式裏書、船荷証券の提示者を権利者とする持参人式裏書等があります。
信用状取引きの場合は、荷受人欄が指図式で白地裏書(made out to order and blank endorsed)による方法が一般的です。
裏書の方法については、売買条件及び商流に基づき正当な権利者に譲渡するよう、裏書人となる人が適正な方法で行ないます。