海外へ貨物を輸送するとき、長く取引している海外の買主から「B/LではなくSea Waybillで送ってほしい」と言われることがあります。

Bill of Ladingの扱いには慣れていても、Sea Waybillになると、「Originalは何通発行するのか」「輸入者へ何を送ればよいのか」「Originalなしで、なぜ貨物を渡してよいのか」と戸惑う担当者は少なくありません。

Sea Waybillを理解するためには、書類の形を見るより、Bill of LadingではなぜOriginalが重要なのかから考えると分かりやすくなります。

そして実務では、もう一つ重要な点があります。

Sea Waybillは一般にOriginal B/Lの呈示を必要としない運送書類ですが、だからといって、世界中のすべての港で「紙は何も必要ない」「Consigneeの名前さえ合っていれば、そのまま貨物を受け取れる」という意味ではありません。

Carrier、仕向国、Port of Discharge、現地税関、Local Agent等によって、貨物Releaseのための手続が異なる場合があります。

Sea Waybillを正しく理解するには、Sea Waybillそのものの性質と、実際の仕向地で行われる貨物Release手続を分けて考えることが重要です。

Bill of Ladingでは、なぜOriginalが重要なのか

一般的なOrder B/Lは、単なる輸送明細ではありません。

貨物を受け取ったことを示すReceiptとしての役割、運送契約を示す役割に加え、貨物に関する権利を表章するdocument of titleとして利用されます。

そのため、輸出者はOriginal B/Lを自分で保有したり、銀行へ渡したりすることによって、貨物が海外へ向かっている間も貨物引渡しを一定程度コントロールできます。

例えば、日本の輸出者が初めて取引する海外の買主へ5,000万円の商品を輸出したとします。

買主からまだ代金を受け取っていないのであれば、輸出者としては「貨物だけ先に持っていかれては困る」と考えます。

そこでOriginal B/Lを輸出者又は銀行側で保持し、所定のOriginal B/Lを正当に取得した者でなければ貨物を受け取れない仕組みを利用します。

この「書類の所持と貨物引渡しが結び付いている」という点が、Sea Waybillとの大きな違いです。

Sea WaybillはOriginal B/Lによる貨物支配を使わない

Sea Waybillも、Carrierが貨物を受け取ったことや運送契約の内容を示す重要な運送書類です。

しかし、一般的なSea WaybillはOriginal B/Lのようなdocument of titleとして使用しません。

裏書をして次の買主へ渡し、その買主がさらに裏書して別の買主へ譲渡する、といった使い方を前提とする書類ではありません。

貨物の受取人は、Sea Waybill上のNamed Consigneeとして最初から記載されます。

Carrierは、原則としてそのNamed Consignee又は正当に授権された代理人であることを確認し、必要な現地手続を終えたうえで貨物を引き渡します。

つまりSea Waybillでは、Original B/Lという紙そのものを貨物と交換するのではなく、「誰がConsigneeなのか」を中心として貨物引渡しを管理することになります。

Sea Waybillを使うと何が便利なのか

分かりやすいのは、日本からシンガポールへ毎月商品を輸出しているような取引です。

日本のメーカーとシンガポールの輸入者は10年以上取引しており、代金はOpen Accountで決済しています。貨物を航海途中で別の会社へ転売する予定もありません。

この取引で毎回Original B/Lを発行し、日本から国際宅配便でシンガポールへ送り、輸入者がOriginal B/Lの到着を待ってから貨物を引き取る必要があるでしょうか。

取引上Original B/Lによる貨物支配を必要としていないのであれば、その作業は時間と費用を増やすだけになる場合があります。

このような取引ではSea Waybillが非常に使いやすくなります。

輸入者はSea Waybill上のNamed Consigneeとして記載され、Carrierの現地Release手続を完了すれば、Original B/Lが国際宅配便で到着するのを待たずに貨物を引き取ることができます。

Sea Waybillに向いている取引

Sea Waybillは、一般に次のような取引と相性が良い書類です。

  • 長期間取引している信用ある買主への輸送
  • 親会社・子会社などグループ企業間の輸送
  • 代金を前払い済みの貨物
  • Open Accountによる継続取引
  • 輸送中に貨物を転売する予定がない取引
  • Original B/Lによって代金回収をコントロールする必要がない取引

Sea Waybillを使う理由は、「最近は電子化しているから」というだけではありません。

そもそもその取引にOriginal B/Lが持つ貨物支配機能を必要としていないのであれば、Sea Waybillの方が取引の実態に合っているということです。

Sea Waybillに向かない取引

反対に、輸出者が代金を受け取るまで貨物をコントロールしたい取引では慎重に判断する必要があります。

例えば、初めて取引する海外企業へ高額商品を輸出し、代金もまだ受け取っていないにもかかわらず、その買主をSea WaybillのNamed Consigneeとしてしまったとします。

この状態で「まだ代金が入らないのでSea WaybillのPDFを買主へ送らないでおこう」と考えても、Original B/Lの場合と同じ貨物支配にはなりません。

Sea WaybillのPDFや紙を所持していること自体が、Original B/Lのような貨物引渡しのためのdocument of titleではないからです。

このような取引では、Sea Waybillを選択する前に、Original B/Lを利用すべきかを検討する必要があります。

Sea Waybillは「B/Lより便利な書類」ではありますが、すべての取引でB/Lより優れているという意味ではありません。

重要なのは、売買条件、決済条件、買主の信用状態、途中転売の可能性などに応じて使い分けることです。

Sea WaybillとSurrendered B/Lは、結果が似ていても仕組みが違う

Sea WaybillとSurrendered B/Lは非常によく混同されます。

理由は簡単で、どちらも仕向地でOriginal B/Lを提出しなくても貨物を受け取れることが多いからです。

しかし、そこへ至るまでの仕組みは異なります。

項目 Sea Waybill Surrendered B/L
最初に発行する書類 Sea Waybill Bill of Lading
Original B/L 貨物引渡しのためのOriginal B/Lを前提としない 一度発行したB/Lを船積地側で回収する
仕向地での引渡し Named Consigneeを中心に確認する Surrender済みであることを確認する
基本的な考え方 最初からOriginal B/Lによる貨物支配を使用しない いったんB/Lを発行し、そのOriginalによる貨物支配を後から解除する

したがって、Sea Waybillを「最初からSurrenderされているB/L」と考えるのは正確ではありません。

Telex ReleaseもSea Waybillの別名ではない

Telex Releaseという言葉もSea Waybillと一緒に使われることが多いため、さらに混乱しやすくなります。

Telex Releaseは一般に、発行済みB/Lについて、仕向地でOriginal B/Lを呈示しなくても貨物をReleaseできるよう、船積地側から仕向地側へ送られるRelease Instruction又はその状態を意味します。

Sea Waybillは、そもそもOriginal B/LのSurrenderを必要としない別の運送書類です。

結果として「仕向地でOriginalを出さずに貨物を受け取れる」という点が似ているため混同されますが、Sea WaybillとTelex Releaseは同じものではありません。

Straight B/Lとも同じではない

Named Consigneeが記載され、通常は裏書による流通を予定しないStraight B/Lも、Sea Waybillと混同されることがあります。

しかしStraight B/Lは、あくまでBill of Ladingとして発行される書類です。

Carrierの約款、準拠法、仕向地での取扱い等によって、Original B/Lの呈示が貨物引渡しに必要となる場合があります。

したがって、書面に「NON-NEGOTIABLE」と記載されているという理由だけでSea Waybillと判断するのではなく、実際のDocument Typeを確認する必要があります。

Sea Waybillで最も重要なのはConsignee

Sea Waybillを使うときは、Consignee欄を軽く考えてはいけません。

Original B/Lでは、誰が正当にB/Lを所持しているかという確認が重要になります。

Sea Waybillでは、その代わりに「Sea Waybillに誰がConsigneeとして記載されているか」が非常に重要になります。

輸入者本人をConsigneeにするのであれば、原則としてその輸入者が貨物受取主体となります。

したがって、会社名、法人格、所在地などを正確に記載する必要があります。

同じ企業グループに似た名称の会社が複数存在する場合には、特に注意が必要です。

Notify PartyはConsigneeではない

Sea WaybillにはNotify Party欄もあります。

ここには輸入者、customs broker、フォワーダーその他の関係者が記載される場合があります。

しかし、Notify Partyは基本的にArrival Notice等の通知を受けるための主体です。

Notify Partyとして記載されているという理由だけで、その会社に貨物を引き渡してよいという意味ではありません。

Consignee以外のcustoms broker、海貨業者、フォワーダー等がD/O取得や貨物引取手続を行うのであれば、Consigneeからの委任やCarrier所定のAuthorization等を確認する必要があります。

Sea Waybillでも輸送中にConsigneeを変更できる場合がある

「Sea WaybillはNon-Negotiableだから、Consigneeは絶対に変更できない」と説明されることがあります。

しかし、裏書によってSea Waybillを譲渡できないことと、運送契約上の正当な指図によってConsigneeを変更できるかどうかは別の問題です。

適用されるSea Waybillの約款やルールによっては、ShipperがRight of Controlを保持し、一定の時点までConsignee変更その他の指図を行える場合があります。

もっとも、貨物が仕向地へ近づき、Manifest、Arrival Notice、輸入申告、D/O発行等の処理が進めば、実務上の変更は難しくなります。

変更が必要になった場合は、Carrierへ早急に確認する必要があります。

「Sea WaybillだからOriginal不要」は原則として正しい

ここまでの説明だけを見ると、Sea Waybillは非常に単純です。

Original B/Lのように、そのOriginalを国際宅配便で送り、輸入者がCarrierへ呈示して貨物と交換することを基本とする書類ではありません。

Sea Waybill上のNamed Consignee又はその正当な代理人を確認して貨物をReleaseするというのが基本です。

国際的な一般原則としては、この理解でよいでしょう。

しかし、実際の国際物流では、ここから先にもう一段階あります。

ところが現場では「Sea Waybillなのに紙を持ってこい」と言われることがある

Sea Waybillを利用しているにもかかわらず、海外の代理店から「Waybillを持参してください」「Consigneeの署名したLetterを提出してください」などと言われることがあります。

場合によっては、現地担当者が「Original Sea Waybill」と呼んでいる紙をカウンターへ持って行き、その紙を提出してD/Oを受け取るような運用もあります。

これを見ると、「結局B/Lと同じではないか」と感じるのは当然です。

しかし、ここでは二つの問題を分ける必要があります。

一つは、Sea Waybillそのものがどのような性質を持つ運送書類なのかという問題です。

もう一つは、その国、その港、そのCarrier、そのLocal Agentが貨物Releaseのために何を提出させているかという問題です。

紙のSea Waybillを提出させるからといって、その紙がOriginal B/Lと同じdocument of titleになるとは限りません。

Sea Waybillでも現地書類が必要になる具体例

実際にCarrierが公表しているLocal Procedureを見ると、Sea Waybillだから何の書類も必要ないとは限らないことが分かります。

例えばMSC Bulgariaでは、Sea Waybill又はTelex Releaseによる貨物について、Consigneeが所定のLetter of Indemnity / Undertakingへ署名・押印し、Release前に提出する手続が設けられています。

MSC Israelでも、Sea Waybillによる貨物Releaseについて、ConsigneeがSea Waybill Termsを確認・受諾するための所定書面へ署名する手続があります。

これらはOriginal B/Lの裏書・呈示を要求しているという意味ではありません。

Sea Waybillとしての貨物Releaseに、Carrier独自の本人確認、約款受諾又はRelease Procedure上の追加書類を求めていると理解する方が適切です。

つまり、「Original B/L不要」と「何の書類も不要」は同じ意味ではありません。

そもそもSea Waybillを自由に選べない仕向地もある

現地で追加書類を要求されるケースより、さらに一歩進んで、Carrierと仕向地の組合せによってはSea Waybillそのものを利用できない場合があります。

ここで注意したいのは、「ある国ではSea Waybillが使える」「ある国では使えない」と国名だけで単純に区分できるとは限らないことです。

実際には、Carrier、航路、Port of Dischargeだけでなく、同じ国であっても輸入と輸出で取扱いが異なる場合があります。

MSC Boliviaは輸入と輸出でSea Waybillの取扱いが異なる

この違いが分かりやすい実例の一つがMSC Boliviaです。

MSC Boliviaが公表しているImport Local Proceduresでは、Bolivian CustomsがOriginal B/Lを要求するため、Sea Waybillを受け付けないことが明記されています。

つまり、Bolivia向けの輸入貨物については、日本などの船積地側で「Original B/Lによる貨物支配は必要ないのでSea Waybillにしよう」と考えても、そのままSea Waybillを利用できるとは限りません。

仕向地であるBolivia側の税関手続にOriginal B/Lが必要だからです。

Telex ReleaseでもBoliviaではOriginal B/Lが現地で必要になる

さらに興味深いのがTelex Releaseです。

Bolivia向け輸入貨物についてMSC BoliviaではTelex Release自体は認められています。

しかし、Telex Releaseだからといって、仕向地でOriginal B/Lが一切存在しなくなるわけではありません。

MSC Boliviaの公表手続では、Telex Release Instructionを受けた場合、MSC BoliviaがConsignee向けのOriginal B/Lを現地で印刷し、Bolivian Customsの要求に従ってConsigneeが1通のfreighted Original B/Lを税関へ提出する仕組みとなっています。

つまり、船積地側ではOriginal B/LをConsigneeへ国際宅配便で送らなくても、仕向地の税関手続のために現地でOriginal B/Lが必要になるということです。

これはSea WaybillとTelex Releaseを同じものとして理解していると、非常に分かりにくい実務です。

ところがBoliviaからの輸出ではSea Waybillを利用できる

さらに重要なのは、同じMSC BoliviaでもExport Local Proceduresでは取扱いが異なることです。

Boliviaから輸出する貨物については、Express Release(Sea Waybill)が用意されており、所定の条件のもとでOriginal B/Lを呈示せずに貨物をReleaseできる方式として案内されています。

つまり、同じ国、同じCarrierであっても、

  • Bolivia向け輸入ではSea Waybillを受け付けない
  • Bolivia向けTelex Releaseでは現地税関用Original B/Lが必要になる
  • Boliviaからの輸出ではExpress Release(Sea Waybill)が利用できる

という異なる取扱いが存在します。

この例は、Sea Waybillを使用できるかどうかを「国名」だけで判断してはいけないことをよく示しています。

Original B/Lのみを要求するCarrier・仕向地の組合せもある

Carrierが公表するDocument Type Requirementの中には、特定の仕向地についてOriginal B/Lのみを指定する例もあります。

例えばHapag-Lloydが公表しているShipping Instructions関連情報では、仕向国固有のDocument Type Requirementの例としてColombiaについてOriginal B/Lのみという指定が示されています。

このような場合、船積地側だけを見てSea Waybillを選択することはできません。

実際にBookingするCarrier及びDestinationの条件を確認する必要があります。

Sea Waybillの可否はBooking単位で確認する

Sea Waybillを使用するときは、「この国では以前Sea Waybillを使えた」という過去の経験だけで判断するのではなく、実際のBookingについて最新の条件を確認することが重要です。

少なくとも次の点をCarrierへ確認するとよいでしょう。

  • 今回のPort of Discharge又は最終仕向地でSea Waybillを使用できるか
  • ImportとExportで取扱いが異ならないか
  • Sea Waybill貨物のRelease時にConsigneeが提出する書類は何か
  • 税関又は港湾当局がOriginal B/Lを要求していないか
  • Carrier独自のLetter、Acknowledgement、Authorization等が必要か

Sea Waybillは国際的にはOriginal B/Lの呈示を貨物引渡しの基礎としない運送書類ですが、実際の貨物引渡しはCarrier、航路、Port of Discharge、現地税関及びLocal Agentの手続の中で行われます。

そのため、「Sea Waybillの性質」と「今回の貨物を現地でReleaseするための手続」は別々に確認することが大切です。

紙に印刷されたSea Waybillもある

Sea Waybillというと、PDFだけの電子的な書類を想像するかもしれません。

しかし、CarrierによってはSea Waybillを物理的な専用用紙へ印刷する場合があります。

そのため、実務上「Original Sea Waybill」という呼び方を耳にすることがあっても不思議ではありません。

重要なのは、その紙が存在するかどうかではありません。

その紙の所持・呈示そのものが貨物引渡請求権を表章しているのか、それとも本人確認、税関、Carrier Termsの受諾、D/O発行その他のLocal Procedureのために提出しているだけなのかを確認する必要があります。

Sea Waybillの紙を現地手続のため提出しているだけであれば、Original B/Lをdocument of titleとして呈示する場合とは意味が異なります。

Sea Waybillなのに紙を要求されたら、何のための紙なのかを確認する

Sea Waybill貨物について仕向地から書類提出を求められた場合、「Sea WaybillなのだからOriginalは不要のはずだ」とだけ考えるのではなく、何の目的で書類を要求しているのかを確認すると理解しやすくなります。

  • Named Consignee本人の確認なのか
  • 代理人へのAuthorization確認なのか
  • Carrier Termsへの同意なのか
  • D/O発行のためのLocal Procedureなのか
  • 税関提出用なのか
  • その航路ではSea Waybillそのものが利用できずOriginal B/Lが必要なのか

この切り分けを行えば、「Sea Waybillなのに紙が必要」という現象と、「Original B/Lを呈示しなければ貨物を受け取れない」という仕組みの違いが分かります。

Master Sea WaybillとHouse B/Lは別の話

フォワーダーやNVOCCを利用した輸送では、もう一つ混乱しやすい問題があります。

船会社が発行するMaster書類はSea Waybillで、NVOCCが荷主へ発行するHouse書類はOriginal B/Lという組合せもあります。

この場合、船会社からNVOCC側への貨物ReleaseではMaster Sea Waybillの手続を使います。

しかし、NVOCCから最終的な貨物受取人へ引き渡す段階ではOriginal House B/Lが残っています。

したがって、「MasterがSea WaybillだからOriginalは不要」と考えて最終荷主へ貨物を渡してはいけません。

反対にHouse Sea Waybillであっても、MasterがOriginal B/Lであれば、NVOCCがActual Carrierから貨物を受け取るためのMaster B/L処理が必要です。

MasterとHouseは別々の運送契約・書類階層として考える必要があります。

L/C取引ではSea Waybillを使えないのか

Sea WaybillはL/C取引では使えない、と説明されることがありますが、必ずしもそうではありません。

信用状がNon-Negotiable Sea Waybillを要求していれば、Sea Waybillが信用状取引の呈示書類になる場合があります。

ただし、「銀行へ書類を呈示できること」と「銀行が貨物をコントロールできること」は同じではありません。

Original B/Lであれば、銀行がそのOriginalを保有すること自体が貨物支配と結び付きやすくなります。

一方、Sea WaybillでApplicantである輸入者をNamed Consigneeにしている場合、銀行がSea Waybillを保有しているだけではOriginal B/Lと同じ貨物支配にはなりません。

銀行による貨物Release管理が必要であれば、誰をConsigneeとするのかを含め、船積み前に銀行と確認する必要があります。

Sea Waybillを選んだ後に代金が入らなくなったら

Sea Waybillで買主をNamed Consigneeとして出荷した後、買主の支払いが遅れたり、信用状態が悪化したりすることがあります。

この場合、「まだSea Waybillのコピーを送っていないから大丈夫」と考えるのは危険です。

Sea Waybillでは、そのコピーを持っていることがOriginal B/Lのような貨物引渡しの条件ではないからです。

貨物を止める必要が生じた場合には、ShipperがまだRight of Controlを持っているのか、Consignee変更ができるのか、CarrierがStop Deliveryを受け付けるのか、すでにDestinationでRelease手続が進んでいないかを早急に確認する必要があります。

つまり、Sea Waybillを使うかどうかは、貨物を出した後ではなく、売買契約と決済条件を決める段階で考えておく必要があります。

Sea Waybillの長所と注意点

項目 長所 注意点
書類送付 Original B/Lの国際配送を待つ必要がない 現地独自の書類提出を要求される場合がある
貨物引渡し 迅速なReleaseが可能 Named Consigneeの誤記は重大な問題になる
Original紛失 Original B/L紛失による貨物Release問題を回避しやすい Consignee本人・代理権の確認は依然必要
代金回収 既決済・信用取引では効率的 Original B/Lによる貨物支配には利用できない
途中転売 転売しない取引では問題にならない 裏書による流通には適さない
国際運用 多くの航路・取引で利用できる Carrier・Destination・輸出入方向による例外確認が必要

Sea Waybillを一言で理解するなら

Original B/Lでは、「正しいOriginal B/Lを持っている者」を中心として貨物引渡しを管理します。

Sea Waybillでは、「Sea Waybillに記載された正しいNamed Consignee」を中心として貨物引渡しを管理します。

この違いを理解すると、なぜSea Waybillが早くて便利なのか、そしてなぜ代金未回収の取引では慎重に使う必要があるのかが分かります。

さらに実務では、その基本構造の上に、Carrier、Destination Country、Port of Discharge、現地税関及びLocal Release Procedureが重なります。

したがって、Sea Waybillを単に「Original B/Lがない輸送」と覚えるのではなく、Original B/Lの所持ではなくNamed ConsigneeとCarrierのRelease Procedureを中心として貨物引渡しを管理する輸送と理解する方が正確です。

Sea Waybillの詳細な実務

実際にSea Waybillを使用すると、Booking時のDocument Type指定、Consignee変更、Right of Control、Stop Delivery、Master Sea WaybillとHouse B/Lの組合せ、D/O発行、代理人への貨物引渡し、仕向地固有のRelease Requirement、誤引渡し防止など、さらに細かな実務判断が必要になります。

これらの発行・変更・貨物引渡しに関する実務については、Maritime Wiki「Sea Waybillの運用実務―発行・Consignee変更・貨物引渡し」で詳しく扱います。

まとめ

Sea Waybillは、貨物の受領や運送契約を示す重要な運送書類ですが、一般的なOriginal B/Lのように、そのOriginalを所持・裏書・呈示することによって貨物引渡しを管理する書類ではありません。

そのため、長年の取引先、グループ会社、前払い取引、Open Accountなど、Original B/Lによる貨物支配を必要としない取引では非常に便利です。

反対に、代金を受け取るまで輸出者が貨物を押さえたい場合や、航海中に貨物を転売する場合には、Original B/Lの方が適することがあります。

Sea WaybillとSurrendered B/L、Telex Release、Straight B/Lも同じものではありません。

そして「Sea Waybill=世界中で紙が不要」と考えないことも重要です。

CarrierやDestinationによっては、Sea Waybill貨物についてConsignee Letter、Acknowledgement、Authorization、hard copyその他の手続書類を要求することがあります。また、Carrier・仕向地の組合せによってはSea Waybillそのものを利用できない場合もあります。

MSC Boliviaのように、同じ国・同じCarrierでも、Bolivia向け輸入ではSea Waybillを受け付けない一方、Boliviaからの輸出ではExpress Release(Sea Waybill)が利用できる例もあります。

したがって、Sea Waybillを使用できるかどうかは「この国では使える」という国名だけで判断せず、実際のCarrier、輸出入方向、Port of Discharge及びLocal ProcedureをBooking単位で確認することが重要です。

Sea Waybillなのに現地で紙の提出を求められた場合も、「Sea Waybillなのにおかしい」と考えるのではなく、その紙がOriginal B/Lとして要求されているのか、本人確認、税関、Carrier Termsの受諾又はD/O発行のためのLocal Procedureなのかを確認します。

Sea Waybillを正しく理解するポイントは、紙があるかないかではありません。

誰が貨物引渡しをコントロールし、Carrierは何を根拠として誰へ貨物を渡すのか。

この点を理解することが、Sea Waybillを実務で正しく使うための基本です。